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2009.01.07
99.不思議会
◆公務員給与削減をやめろって!?◆
「市役所職員の給与削減をやめろ」。社会経済情勢と常識から考えると、誠に不思議なことをやっている議会があるようだ。市の行財政改革で実施した職員給与削減の廃止を市議会が可決した。職員給与削減を可決して6か月後、一転、削減の廃止は可決された。二転三転する議会の豹変ぶりは、「議会をやめろ」と言いたくなるほどの理解不能ものだ。
参考:高萩市議会:再議の市職員給与減額条例案、採決は先送り /茨城12月26日16時1分配信 毎日新聞(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081226-00000181-mailo-l08)リンク切れ容赦。
議会情報が極めて乏しく、無いに等しいので、市長や議員、市役所のHPとともに合わせて解釈すると、以下のような経緯の模様。
市の財政状況と財政健全化法の施行を機に、財政健全化を公約に当選した新人市長は独自の健全化計画を策定し、順次スタートさせた。職員給与削減は、数ある経費削減策の一項目。6月の定例市議会に、職員組合合意の上で、市長提案の削減条例が議会で可決され、10月から削減が始まった。 これに反対する議員は9月に削減廃止条例を提案したが否決された。性懲りもなく、12月の議会に再度削減廃止条例を提案したところ、今度はナゼか可決された。市長は削減廃止条例の再議を求めたが、多数の住民が傍聴に訪れた再議の議会では採決はせず、特別委員会を設置した。
反対議員の言い分が、この世のものとは思えないほどの意味不明。「財政再建は自虐的」「市の将来負担比率は国のボーダーより低い」「市は健全化団体」「職員給与は、すでに県内で最低」「職員給与の削減が、市の経済停滞に計り知れない影響を与える」などなど。市の経済が役人の消費で支えられているとは、この市は中国や北朝鮮のような官僚天下なのかどうかは分からないが、HPなどには市土地開発公社の借金返済が主要テーマのように出てくるので、調べてみた。
問題は、市土地開発公社と民法法人の住宅公社を合わせて77億円残っている借金。企業誘致話もあるようで、10億円の土地売却代金の収入が期待できるかもしれないという状態だが、売却代金は臨時収入であり、市財政の常態への影響は、まだ分からない。決算値による将来負担は205%(国のボーダーは350%)。市関係HPには予決算情報すら載っていないので、総務省HPで調べると、平成18年度のもので普通会計規模は120億円超。健全化計画は2つの公社の借金を返済するのが一つの目的のようだ。計画上では、職員給与削減の効果額は約3億6000万円。
余談になるが、土地開発公社の問題で、一つ踏まえておくべき点がある。この市に該当するかどうかは分からない一般的な話。土地公社の塩漬け用地は、全てが設置者の都道府県市町村の判断で購入した土地ではない。土地代金は莫大で役所で購入すると財政的な打撃が大きいため、公共用地の先行取得専門会社として作られたのが土地公社。土地公社は、金融機関からお金を借りて土地を購入し、公共機関に売却し、その売却収入で借金を返す。形式的な手続き上は、知事や市町村長が土地公社に土地購入を指示するのだが、その土地を将来買い取るのは、国や公団だったりする。つまり、国や公団の事業用地の先行取得機関として、地方の土地公社を国や公団が使ってきた実態が各地にある。国や公団のために、地方の土地公社が借金をして、土地を購入してきたという訳だ。
ところが、である。国や公団が、首長を通して、土地公社に公共用地を先行取得させながら、国や公団の都合で売れなくなっているケースも多々ある。国や公団が「将来買う」と口約束をしながら、事業計画を途中でやめたため、土地は塩漬けになり、土地公社の借金返済のメドが立たなくなっているケースも、いわゆる塩漬け用地と含み損の中にはある。健全化比率が作られ、公社借金も市の将来負担に含まれることになったが、国の尻ぬぐいを地方がやっている実態を踏まえないと、地方への偏見だらけになるので、取り扱い注意のテーマだ。
現在進行形の一例が、滋賀県栗東市にある。新幹線駅中止で有名になったお膝元の市だ。土地自体は、新幹線駅周辺の再開発用地として購入したが、そもそもの駅が中止になって、先行取得した周辺開発用地が売れなくなった。国とJRは土地購入に直接的な関係はないが、地道府県や市町村と関係ないところでの出来事の影響の大きさを物語る例。栗東市は不交付団体だが、この土地の問題で資金的にも行き詰まり、将来負担比率オーバーで、健全化団体に転落するとも見られている。土地公社と将来負担比率には、土地の歴史を含めて警戒が必要だ。
大幅に外れたが、給与削減を廃止する不思議会の話。この市の財政状況の良し悪しは、人それぞれの判断が分かれるところだろう。しかし、改革は常に進めなければならないのが大前提。しかも、金融不況の影響で、国や都道府県のみならず、市町村の法人関係税も大幅減少することは確実に予見できるところ。同時に、生活保護も増える。来年度の地方交付税は選挙の年ということもあって国も積極的だが、国が交付税のサイフを握っている限り、この先、どんな変化が起きるかは予測不能。自治体に金を貸している金融機関も先行き不安を抱える。金融機関自身の経営が危うくなれば、相手が民間だろうが、自治体だろうが、貸し剥がし貸し渋りは起きる。実際に民間で起きている黒字倒産は、借り手側の問題ではなく、貸し手の金融機関側の都合による要因もある。金融庁のご指導もあって、金融機関も自治体への融資審査を慎重に行うようになっており、すでに金融機関との借り入れ交渉の不調、借り入れ金利の急上昇などで、資金繰りに苦しむ地方機関の事例も発生し始めている。
地方の財政環境は非常に不安定になっているが、反対に市町村財政に明るい話や見通しを探しても、別にない。であれば、最悪を前提に考えるのが、危機管理の常道だろう。最悪のケースを考えていれば、その通りになっても持ちこたえられる。前提の通りに最悪にならなければ、それだけゆとりが持て、結果オーライだ。反対議員の言い分は、今さえよければ明日はどうでもいいという、明日を捨てたプータロー的な発想と同じように聞こえる。前回のブログにも書いたが、健全化比率の数字の意味を考えても、将来負担比率は理不尽な比率。というより、計算式はあっても論理的な根拠は無いに等しく、国のサジ加減が非常に強い指標。試行期間の今回はサジ加減が甘かったため、健全化団体転落を国に見逃してもらった団体も多い。国のボーダーよりも下か上かが、自治体財政の健全性を表すことはない。市の健全化計画も市HPで見たが、今後の税収増を前提にしており、この計画もご時世を考えれば甘いと言わざるを得ないだろう。
国の義務づけ業務を除けば、自治体財政の窮状に単純比例して減らないのは、人件費と借金と生活保護費。この3つは、仮に自治体が破綻しても最優先で支払い義務が生じる部分だ。生活保護費はナショナルミニマムの保障制度なので、人件費と借金の圧縮が、財政苦境の乗り切るカギ。改革の本丸であり、ど真ん中と言ってもいいだろう。特に、民間経済が苦境にある時は、批判の矛先は役人と議員の特権、優遇、ムダに向かう。であれば、まだ余裕がある時に、人件費と借金の圧縮をしておくのが、危機管理の常道になる。夕張ほど悪くないから、給与削減も借金圧縮も不要という発想ではなく、悪くない今だからやっておくのが、最悪への備えになる。そもそも、日々の生活に困るほどの状態になれば、借金は返せなくなる。しかし、自治体は借金を最優先で返す義務から解放されることはないから、借金を返す原資を、新たな借金で工面する多重債務に陥る。
反面、自治体財政の窮状に単純比例して増える代表的なものが、税、使用料、手数料など。支出を減らして、収入を増やすのが、窮状からの脱出口。ただ、これも勘違いが多いというか、政治的に利用されることが多いので、念のため。税は市民全員が対象になるが、使用料や手数料の値上げの対象は市民全員ではない。値上げの対象になるのは、公民館や集会所、公営プールを使っている市民。こうした公共施設を使わず、住民票などを取得する機会が少ない人は、値上げとは関係ない。簡単に言えば受益者負担原則ということだ。当然と言えば当然の原則なのだが、どういう訳か、今までは公民館を使っている人と使っていない人の負担原則が歪んでいた。分かりやすく例えれば、自分の子供はA学校に通っているのに、今まではB学校の授業料も徴収されていたということ。これを受益者負担にして、B学校の授業料はB学校に通っている人の負担にするのが、一般的な使用料、手数料の値上げの理屈だ。B学校に行っていない人にとっては値下げを意味する。
何だか長くなったが、この不思議会。調べれば調べるほど、理解不能に陥り、初笑いしたくなるような愚かな話。一体、何を企んでいるのだろうか。単純計算すれば、本会議だけでもすでに3回開かれ、議論は出尽くしているハズ。法秩序に則って採決で結論を出すべきと思えるが、まさか再議案件で特別委員会を設けるとは。裏工作する時間稼ぎなのか、議員さんのお手当目当てなのか。議会であれば、役所を効率化した余財で市民生活を向上させることを考えることをお奨めする。日本の田舎議会は、こんなところばかりなのだろうか? 今日は特に寒い。
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