2012.04.22
114.当たり前の判断かも
◆硬過ぎて飲み込みにくいけど・・・当然か◆
自治体組織に首長が損害を与えたとして、住民が市長に損害賠償しろ返還しろと言っている最中に、自治体組織の意思決定機関である議会が「首長が賠償する必要はない」と請求権を放棄してしまう現象に、最高裁が4月20日、神戸市や大阪・大東市の5件について一定の判断を下した。4月23日判決の栃木・さくら市(旧氏家町)の件を省いて考えてみた。
最高裁の判決では、高裁判決で住民勝訴(議会の請求権放棄は無効)だった1件と住民敗訴(議会の請求権放棄は有効)だった3件を差し戻し。神戸市外郭団体への派遣職員人件費55億円を神戸市長に賠償請求した1件は住民勝訴の高裁判決を破棄、住民敗訴が確定した。
判決文が見られないので詳細は分からないが、最高裁が初めて示した判断は、1)基本的に請求権放棄は議会の裁量権に委ねられる、2)しかし請求権放棄が不合理で議会の裁量権の逸脱・乱用となる場合は違法・無効になる――ということだろう。不合理で裁量権の逸脱・乱用は、公金支出の内容や原因、請求権放棄の趣旨や経緯と放棄にによる影響、住民訴訟の経緯などを「総合的に考慮」して判断されるそうだ。
住民敗訴が確定した派遣職員給与の件は、市長に過失がなく支出が違法ともいえず、外郭団体も不法利得が目的ではないし、必要な議論を経て請求権放棄しているということらしい。公人職市長ではなく個人市長が膨大な責任を負わされると柔軟な職務遂行の妨げになるという、制度的な問題も考慮に入れた模様がある。派遣法との絡みが、どう判断されたのかは分からない。
複雑に入り組んでいて思考回路が破壊されそうだが、極端に言うとこういうことだと思い込んでおこう。つまり、1)一次判断は議会の裁量権の範囲内、2)しかし、政治的配慮や何らかの利得を意図した請求権の放棄、正当な手続きを経ない請求権放棄は無効・違法、3)政治的意図や無茶苦茶な思惑と根拠に基づいて住民訴訟を行使することも施政を萎縮させるからヤメテ――。結局、一事が万事ではなく、個別に判断しなければいけないとう当たり前の中和的な話に落ち着く。
それでも、これまでルールが無く野放しだった議会側の請求権の放棄に一定の制限がはめられたという効果はあるのだろう。住民側には喉越しが悪くて飲み込めない話かもしれないが、要は原点に戻ればいいとうことも、最高裁の判断は暗示していると、これも思い込んでおこう。
つまり、議会の前に住民ありだ。バカなことをする議会・議員を見て住民が自身を戒め、バカなことをしない議会・議員に作り変える。法律の技術論は分からないけれど、これだけは言える。住民が選んだ議会がやることは、住民の意識も映し出している。
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2012.03.30
113.悪い議会のいいお手本
◆大阪はノーチェックのザル議会か◆
大阪市交通局の労働組合が昨年11月の大阪市長選で、当時の現職市長への支援を同局職員に求めたとする「友人・知人紹介カード配布回収リスト」(支援リスト)を、同局の非常勤嘱託職員が捏造していたことが確認された。嘱託職員は市交通局の聴取に対して当初は否定していたが、パソコンの操作記録などを突きつけられて捏造を認めたという。
支援リストを巡っては、交通局労組と、現在の橋下徹市長率いる大阪維新の会市議団が、ともに刑事告発。支援リストを受け取った大阪維新の会の市議は、市議会で支援リストについて質問し、大阪市労連幹部の「支援リストの真偽も確かめずに市議会質問し、労組が犯人扱いされた」という新聞掲載コメントに対しても抗議を表明するなど、異例の展開を見せていた。
支援リストがほぼ捏造と確定したことから、交通局は嘱託職員を解雇。その後、嘱託職員が大阪維新の会にシンパを感じていたことが判明した。橋下市長&大阪維新の会市議団とも、捏造リストに関係した市議の質問は行動は正当だという主張は変えておらず、問題は尾を引く様相を見せているかもしれない。
以上、各種報道ニュースを都合よくまとめてみたが、維新の言い分には疑問がある。「疑惑があれば質問するのが議会人の務め」「役所に追究するのは当たり前」「市側が組合の濡れ衣を晴らしてやった」「疑惑に捜査機関と同程度の裏付けが求められるとすれば、役所の追及はできない」・・・。
果たして、そうなのだろうか? 大阪維新の会、とりわけ橋下市長は公務員の組合活動を「政敵」と見なして強硬姿勢を貫いており、手下の市議に功名心や思い込み先入観による決め付け断定はなかったのか。そう勘ぐられても仕方ない部分はあるだろう。
例えば、質問をした市議は「政治活動を裏付けるもの」「誰かの捏造と思われる方々も多いと考えますが、そのようなことは決してございません」「しつこいようですが、物自体は確実に存在しますし、ガセネタを掴まされたという訳ではありません」とブログに記している。大阪維新の会の2月6日ツイッターにも、それを伺わせる投稿もある。だから、市交通局を告発したのではないだろうか。
もちろん、捜査機関と同程度の裏づけまでは必要ないかもしれない。しかし、議員として裏づけを取る努力はしたのか。シンパを信じるあまり情報まで信じ込んでいたことはないのだろうか。役所情報にケチをつけるのは維新の会の十八番だし、議員には請求権・調査権というものもあるだろう。「物自体確実に存在する」と言うなら、「公文書」として市側に提出させればいいと思うが、「選挙後に破棄すること」という、これまた存在しない情報を信用したのだろうか。この手の趣味を持っている特別顧問のナントカという弁護士の調査結果を待っても良かったのではないか。
実際、別の物を出した市交通局(労組ではない)の公的な調査を見ると、パソコンの操作ログで捏造者を突き止め、捏造と断定できたことになっている。技術に疎い自分には簡単なことなのか難しいことなのか理解できないが、内部調査でここまでできたことは明確な事実だろう。ガセネタを掴まされて他人を罵倒して恥をかく前に、議員として調査して結果を報告しろというのが先じゃないだろうか。
どんな情報であれ議会がノーチェックで情報を信じるなら、それは議会・議員の職責を果たしていないということになる。バカ丸出しだろう。政治と行政と切り離したとしても、政治的な動機というかどうかは別にして、行政組織内部でも上司同僚を貶め自分の利益になるデマは飛び交う。市民まで含めれば不確定情報はさらに増える。
人は自分が知らないことでも、「知らない」とは言いたくなく、ウソをつく気はなくても、あたかも知っているように話すことがある。これも否定できない人間の一部分。
それをノーチェックのまま思い込み先入観で信じ込み、議会で議論することは、何もしない議会と同じだ。誤った情報・証拠に基づく審査や議論は、どんな結果が出ても無効にもなる。
捏造リスト問題が、これからどう転んでいくのかは分からないが、これまでの大阪市議会と大阪維新の会の市議の成り行きを見ていると、ノーチェック議会やザル議会が悪意を持った情報にぶち当たると、こんな悲惨なことになるという「悪い例のいいお手本」にはなる。
◇
大阪維新の会の大阪市議団は30日の記者会見で、市議会で維新の市議が捏造リストを根拠に労組の政治活動を追及した際、一部に断定的表現があったとして「反省」の意を示した。ただ、捏造リストを根拠にした市議会での質疑については、「強制調査権のない議員が、疑惑文書の真偽を確定、調査した上でなければ質疑できないというのであれば、議員の自由な言論を阻害するものであり、許容されるものではありません」「我々は、疑惑文書や事実関係があれば、今後も追及の手を緩めません」として、何ら批判される点はないとの主張を繰り返した。
議会とは・・・と一括りにすると、ここまで落ちぶれていない多くの議会に失礼なので「大阪市議会」にしておくが、大阪市議会は軽いのう。維新の市議は根拠も何もないのに質問できて、それでメシ食えて呑気な商売やのう。しかも一部報道では、質問した議員は、事前に非公式でもリストが本物かどうかの確認すらしようとしていなかったという。俗に言う「バクダン質問」のつもりだったのだろうが、不発どころが自爆に等しいから、大阪喜劇には適っているのかもしれない。
会見内容を見ると、議員の役割、議会の役割を、議員自らが軽んじていることを暴露したに等しい。バカにしすぎていると言いたくなる。そもそも、議員の自由な言論はデタラメを言う権利ではない。デタラメを排除する義務があるのではないか。非公式に真偽を確かめたり、1人ではなく複数から確認を取ったり・・・。やり方を考えるのも議員の務めだ。
議員活動は、調査のための政務調査費、議員活動の各種報酬・手当て・諸経費を税金から受け取っているだろう。議会での発言は、最近はネット中継や録画中継され、議事録にも残る。捏造情報、デタラメ、特定の利得のための質問・・・何でも許容される訳はないだろう。社会にデマを振りまいているに等しいことが議員活動として許容されれば、議員の発言や議事録は何も信用できなくなる。議会と議員は不要ということにもつながりかねない。大阪維新の会は目先の利益のために開き直り、議会・議員不要論の再発火の引き金を引くつもりか。
大阪維新の会の市議団の質問や発言は、根拠不明の情報や捏造情報などデタラメの情報が含まれるから、信用したり鵜呑みにしないで下さいとでも言いたいのか。ならば、その注意書きをまず説明してから、議員活動し議会質問すべきだろう。記者会見では、その注意書きも抜けていた。
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